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松下勝太郎 抜粋

葬儀の風習さまざま わたしの研究と蒐集 文人たち
     

文人たち

近くの森川町には徳田秋声の家があります。徳田秋声旧居という棒が立って、文京区の 名所になっている。倅が私と同じ年でした。私の弟と秋声の次男は本郷中学で一緒でした。 島田清次郎という『地上』という小説を書いた小説家が、徳田秋声の所に少しいた。秋声 の援助があったのだろうが、大した文豪になったつもりでのぼせてしまって、世界の文豪 だと自分で称するようになっていましたが、少し狂ったのか。今『地上』なんてどこにも 出ていませんね。
久米正雄が、漱石の娘に失恋して『破船』という小説を書いた。私の所の坂を上がって東大の赤門に出るカメラ屋の奥にいた。この『破船』でぐっと有名になったのですが、漱石は久米を嫌っていたということでしたが。
玉川一郎は外語を出て、そこの米屋の妹を女房にして、祭小屋に来たりしてなかなか如才のない男でした。
石黒敬七は薬師様の奥の下宿屋にいました。新潟から出てきて早稲田に入った。長岡中学で初段だったのが講道館で昇段試験に七、八人投げ飛ばして有名になった。お祭の時、石黒敬七が来ます。突き当たりの所に屋台が出て、「私が玉川一ちゃんと放送局でおしゃべりしているが、この町内では私が下宿していて、色々お世話になった。死んだらそこに勝ちゃんがいる。ちゃんと用意してあるから」というような洒落をいって。如才ない。美校の彫金科の娘を貰って、フランスに行ったり、大杉栄の遺骨を隠したので有名になった。結局、つかまらなかった。誰か国粋系の人がフランスに逃がしたのか。頭山満のような人ですかねー。ところが石黒は才人だからフランスに行って絵も描くし、詩も書くし、旨く泳いで、今でも大したものだ。
今の日本信販、そこが明治製菓で東大の学生を当てにして、十銭のコーヒーを出したが、十銭のコーヒーを東大の学生は飲まない。駿河台辺りに行くと十五銭のコーヒーがあって、二時間でも三時間でもそこに居られるらしい。やめる時、聞いたら、電灯代も出ないのだと言っていた。
NHKテレビで「お花はん」というのがあった。「青木堂」という所で、シュークリームというのが出てきた。コーヒーとシュークリームをお花はんが飲んだ所なんだそうだ。今は「高島堂」という所で、その隣が医学書院になっています。

生前に録音したテープの書き起こしより抜粋